死亡後の手続きと死後事務委任


 最近、死後事務委任という言葉を聞くようになっていませんか?。死んだ後の色々な手続きを死後事務といいます。本記事は、どのような死後事務があり、生前にどのような準備をしておけばよいのか説明します。

死後事務って何?

 死後事務の中には死亡届の提出をはじめとする役所に対する手続き、公共料金等の支払いと契約解除などの民間企業に対する手続き、並びに葬式及び納骨の執行が含まれます。主要な手続きだけで40種類近くがあります。

役所への主な手続きの種類と期日

1.死亡を知った日から7日以内

  • 死亡届(死亡診断書と死亡届書を提出します)
  • 埋火葬許可証の取得(死亡届を提出すると発行されます)
  • 戸籍への死亡の事項の記載(死亡届を提出した市区町村の役所から本籍地の役所に依頼があります)

2.死亡を知った日から14日以内

  • 住民票の世帯主の変更届(死亡者が世帯主であり、その世帯に2名以上の世帯員がいる場合)
  • 在留カード又は特別永住者証明書の返却(ただし、「死亡日」から起算)

3.死亡日から15日以内

  • バイク及び自動車の廃車又は名義変更手続

4.死亡後速やかに

  • 介護保険被保険者証の返納
  • 運転免許証の返納
  • パスポートの返納又は失効手続
  • 未納保険料の処理

5.死亡を知った日の翌日から1か月以内

  • 未支給の失業給付の請求

6.死亡を知った日の翌日から3か月程度の相当な期間

  • 未納の税金又は過払いした税金の処理(未納又は過払いの通知日から起算)

7.死亡を知った日の翌日から4か月以内

  • 準確定申告

8.死亡を知った日の翌日から10か月以内

  • 相続税申告

9.死亡日等から2年以内

  • 高額療養費の申請(高額な医療費が発生した診療月の翌月から起算)
  • 葬祭費/埋葬料の申請(葬祭を行った翌日から起算)
  • 国民年金の死亡一時金の申請(死亡日の翌日から起算)
  • 過払保険料の処理(還付通知日から起算)

10.死亡日等から3年以内

  • 不動産の相続登記(相続財産の中に不動産があるとき場合、その取得を知った日から起算)

11.死亡日等から5年以内

  • 遺族基礎年金/遺族厚生年金の請求(死亡を知った日の翌日から起算)

12.随時

  • 印鑑登録証の返納
  • 健康保険証又は後期高齢者医療保険被保険者証の返納

13.諸手続きの終了後

  • マイナンバーカード・住民基本台帳カードの返納
  • 未支給年金の請求(被相続人が亡くなった月の年金が未支給の場合。被相続人がマイナンバーを日本年金機構に届け出ていた場合には手続き不要)
  • その他、住所地の地方公共団体から介護サービス等を受けていた場合にはそのサービスの解約手続等
民間企業等への主な手続き
  • 病院や介護施設等の費用清算
  • 電話及びインターネットなどの料金の清算、契約承継、名義変更、又は解約
  • NHK受信料の清算、及び名義変更又は解約
  • 水道、ガス、及び電気の料金の清算、及び契約の名義変更又は解約
  • サブスクリプション型サービスの清算と解約
  • 軽自動車の廃車又は名義変更手続
  • 保険会社への死亡保険や入院給付金の請求、及び契約の解約
  • 預貯金口座の名義変更や解約
  • クレジットカードの解約
  • 証券口座内の証券の移管や口座解約
住居等に関する手続き
  • 不動産の所有権の名義変更(「役所への主な手続き」で説明済み)
  • 未納固定資産税の処理
  • 未納地代の処理(借地権が登記されている場合には相続登記が必要)
  • 未納家賃の処理(賃貸住宅に入居の場合)
  • 遺品整理と賃貸借物件の解約及び明け渡し(賃貸住宅に入居の場合)
葬儀・祭祀に関する手続き
  • 埋火葬許可証の取得(「役所への主な手続き」で説明済み)
  • 葬儀社の手配と葬儀の執行
  • 墓地の管理者への連絡と納骨の執行
  • 墓地の管理料の支払い
その他の手続き
  • 遺されたペットの世話の手配
  • サブスクリプション型オンラインサービスの清算と解約
  • SNSアカウント等の閉鎖

スマホの契約解除は一番最後
 現在ではスマートフォンは、サブスクリプション型オンラインサービスやネット証券やネットバンクなどの金融サービスなど、色々なサービスを受けるための手段となっており、被相続人が亡くなってすぐにスマートフォンの契約を解除してしまうとその人がどのようなサービスを契約していたかわからなくなる可能性があります。「スマホの契約解除は一番最後」と心得てください。

死後事務委任って何?

死後事務を委任するってどういう意味?

「死後事務委任」とは、契約により、亡くなった後の諸々の手続きを誰かにやってもらうことをいいます。

どういう人が死後事務を委任するの?

身寄りがない人や、身寄りがいても頼れない人が死後事務を委任します。

後見人に死後事務をお願いできないのですか?

後見人は、いくつかの手続きを除き、原則として死後事務を行うことはありません。任意後見受任者がいる場合には、別途死後事務委任契約を結ぶ方法もあります。

死後事務委任契約

 死後事務委任契約は、公正証書により作成します。契約の内容は、双方の合意によって自由に決定可能です。契約の中に含まれる主な条項としては、(1)委任する事務の種類、(2)預託金・費用報酬の支払いに関する定め、(3)契約の解除・終了に関する定め、及び(4)預託金の返還・事務執行報告に関する定め等が挙げられます。

委任事務の範囲

 死後事務のうち、必要と思われるものを選択して契約の中に含めることができます。

預託金・費用報酬の支払いに関する定め

 死後事務執行の費用(経費)と報酬の支払いには預託金方式および生命保険利用方式があり、死後事務受任事業者によって方法が異なります。また、任意後見受任者と死後事務契約を結んだ場合には、任意後見人が管理する財産の中から費用(経費)と報酬を支払う方法があります。

  1. 預託金方式:死後事務の委任者の死後に預託金の中から費用(経費)と報酬を支払う。
  2. 生命保険利用方式:生命保険に加入し、その死亡保険金の中から費用(経費)と報酬を支払う。

 費用(経費)と報酬の支払いに関して、死後事務委任契約の中で明確にする必要があります。

契約の解除・終了に関する定め

 亡くなる直前に死後事務委任契約を結ぶわけではないため、契約締結から事務実行までに間があります。その期間に起きた各契約当事者の事情により契約の解除が必要になる場合があります。このような事態に備えるため、契約解除条項を死後事務委任契約に含めます。


 また、預託金の中から死後事務委任の費用と報酬を支払う契約になっている場合では、委任者の相続人はその預託金について相続人としての権利を持っているため、委任者の相続人による解除を防ぐような定めを契約の中に含める必要があります。


 死後事務委任契約には、委任した事務が完了した時点で契約が終了する定めを含めます。

預託金の返還・事務執行報告に関する定め

 死後事務の終了後、受任者は事務執行の費用と自分への報酬を預託金から清算し、残金を遺言執行者、相続人、又は財産清算人に返還します。さらに受任者は、事務執行の詳細、費用の支出、及び報酬等を記載した報告書を作成して報告します。

終わりに

 人が亡くなった後には多くの手続きが必要になります。しかし、生前の整理や準備で、その負担を大きく軽減することができます。相続人にとっては、手続きの期限を把握しておくことが安心につながります。


 また、今後は様々な事情で死後事務委任を利用する人が増えていくでしょう。自分に必要なサービスを見極め、事業者が提供するサービス内容を理解しておくことで、より安心して死後事務代行サービスを活用できます。


 死後事務委任契約は遺言や後見制度とは独立した制度ですが、これらと併せて検討することで、老後の生活を長期的・総合的に計画することができます。