「人は収集する生き物だ」という言う人もいるように、人は生活している間に色々なものを貯めこんでしまいます。貯めこんだものを整理しておけば、亡くなった後に遺族はスムーズに死後の手続きを済ますことができます。
定期的に①~⑤のサイクルを繰り返すことで本当に必要な物だけが残るようにします。
一回の整理で残す物と処分する物に分ける必要はなく、所有物を定期的に分類して処分する作業を習慣化することが大事です。
生前に整理が必要なのは物だけではありません。次のものの整理も検討しましょう。これらの整理は、亡くなったときだけでなく、成年後見を受けるときにも大事です。
成年後見人等は成年被後見人等のために証券の運用をすることはできず、証券口座は塩漬けになってしまいます。それ故、配当金等の受け取り口座を銀行口座に変更しておくと証券の運用益を受け取ることができます。
重い病気に備えて民間の医療保険に加入することはよくあることですが、預貯金の一部を医療の支払に充てても医療費控除で所得税を安くしたり、高額な医療費に対しては国の高額療養費制度を利用することもできます。年金受給年齢になり、子供も独立している方は医療保険を見直しされてみてはどうでしょうか。
また、本人の葬式や相続に備えるために死亡保険を利用することが医療保険よりも大事になる年齢もやってきます。年齢に応じて保険の利用を見直すことが大事だと考えます。
年金に関する次の制度について理解していると役に立ちます。年金制度についてはリンク先でも詳しく説明しています。
複数のお薬手帳を使用している場合にはそれらのうちの一冊のみを使用するようにします。延命治療・終末期医療問題についてはどこまでの医療を受けるか、生前に意思を示します。尊厳死宣言を公正証書ですることもできます。
相続人等は、被相続人のスマートフォンやパソコンを受け継いでもすぐに初期化・廃棄せずにサブスクリプションサービス等の利用料請求がないか確認し、解約等を行った後に初期化・廃棄します。MicrosoftやGoogleのアカウントは、一定の期間にわたって利用されていないと自動的に消去されるようになっています。消去される前に故人のデータを確認し、重要なデータ等をハードディスク等の媒体に移しておくとよいでしょう。
田舎にある実家の墓を移すことを考えている方は、リンク先の記事をご覧ください。
上に挙げたことの中にはエンディングノートを記入することで整理されるものもあります。エンディングノートの記入で整理できなかったものについては別途整理を行います。ただし、エンディングノートは法的文書にはなりません。財産の分与については遺言書の中で指示する必要があります。それでも、エンディングノートの記入によって自分の財産の理解が容易になり、遺言書に添付する財産目録の作成も容易になります。
人が死んだ後の色々な手続きを死後事務といいます。死後事務の中には死亡届の提出をはじめとする役所に対する手続き、公共料金等の支払いと契約解除などの民間企業に対する手続き、並びに葬式及び納骨の執行が含まれます。
1.死亡を知った日から7日以内
2.死亡を知った日から14日以内
3.死亡日から15日以内
4.死亡後速やかに
5.死亡を知った日の翌日から1か月以内
6.死亡を知った日の翌日から3か月程度の相当な期間
7.死亡を知った日の翌日から4か月以内
8.死亡を知った日の翌日から10か月以内
9.死亡日等から2年以内
10.死亡日等から3年以内
11.死亡日等から5年以内
12.随時
13.諸手続きの終了後
スマホの契約解除は一番最後
スマートフォンは、サブスクリプション型オンラインサービスやネット証券やネットバンクなどの金融サービスなど、色々なサービスを享受するための手段となっています。故人のスマートフォンやパソコンの中にある個人情報を特にデジタル遺品と呼びます。被相続人が亡くなってすぐにスマートフォンの契約を解除してしまうとその人がどのようなサービスを受けていたかわからなくなったり、その人のアカウントや口座を見つけ出すために余計な労力を費やすことになったりします。「スマホの契約解除は一番最後」と心得てください。
人の死後にたくさんの手続き(死後事務)をしなくてはならないことがわかりました。被相続人になる者が生前整理をしておけば、相続人がしなくてはならない死後事務の数を減らすことができます。相続人になる者は、死後事務の期日をよく理解し、被相続人になる者の生前整理を手伝う等の事前準備をしておくことが大事です。