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  • 相続の手段としての生前贈与
    相続の手段としての生前贈与 本記事は、生前贈与と贈与税がどのように相続と相続税に関係するのか説明する記事です。本記事は、令和6年12月の時点における国税庁ホームページの記載に基づいています。贈与税の基礎贈与税がかかる贈与財産 個人から贈られた財産には贈与税がかかり、法人から贈られた財産には所得税がかかります。 1月1日から12月31日までの間に受けた贈与についての贈与税の申告と納税は、財産をもらった人(受贈)が翌年の2月1日から3月15日までに行います。 贈与税の課税方式には暦年課税と相続時精算課税の二方式があります。暦年課税 暦年課税制度は、1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産の合計額を基に贈与税額を計算する課税制度です。その年の贈与の合計額から基礎控除額110万円を差し引いた残額について贈与税額を計算します。 贈与税額の税率は、贈与財産の価額及び贈与者と受贈者との間の関係性に応じて以下のように変化します。一般贈与財産用の贈与税の速算表基礎控除後の課税価格200万円以下300万円以下400万円以下600万円以下1,000万円以下1,500万円以下3,000万円以下3,000万円超一般税率10%15%20%30%40%45%50%55%控除額-10万円25万円65万円125万円175万円250万円400万円一般贈与財産用の贈与税の速算表が適用される贈与贈与者受贈者あらゆる属性の贈与者18歳未満の者直系尊属以外の贈与者18歳以上の者特例贈与財産用の贈与税の速算表基礎控除後の課税価格200万円以下400万円以下600万円以下1,000万円以下1,500万円以下3,000万円以下4,500万円以下4,500万円超特例税率10%15%20%30%40%45%50%55%控除額-10万円30万円90万円190万円265万円415万円640万円特例贈与財産用の贈与税の速算表が適用される贈与贈与者受贈者直系尊属である贈与者18歳以上の者※特例贈与財産に関する税率及び控除額の適用を受ける場合、受贈者が贈与者の直系卑属であることを証明する書類(例えば、戸籍謄本)を贈与税の申告書に添付して提出します。計算例1贈与により一般贈与財産A万円を取得した場合(贈与税額) = (A万円 - 110万円) × 一般税率B - 控除額C計算例2贈与により特例贈与財産A万円を取得した場合(贈与税額) = (A万円 - 110万円) × 特例税率b - 控除額c計算例3贈与により一般贈与財産D万円と特例贈与財産d万円の両方(合計A万円)を取得した場合一般贈与財産に対応する税額:{(A万円 - 110万円) × 一般税率B - 控除額C} × D万円 / A万円特例贈与財産に対応する税額:{(A万円 - 110万円) × 特例税率b - 控除額c} × d万円 / A万円相続時精算課税 相続時積算課税制度は、相続時積算課税を選択したうえで贈与を受けるたびにこの制度に係る贈与税を納付し、その贈与をした者が亡くなって相続が発生したときに当該贈与税額を相続税額から控除する制度です。贈与税額の計算相続時精算課税を選択した特定の贈与者が1年間でA万円の贈与をした場合(令和6年1月1日より)(課税価額) = (A万円 - 110万円) - 2,500万円(贈与税額) = (課税価額) × 税率20% 贈与者は、一年間の贈与でこの2,500万円の枠を使い切らなくてもよく、上の計算式で計算した課税価額がマイナスであれば、別の年の贈与について持ち越すことができます。複数年にわたり相続時精算課税に係る贈与を行う場合は、贈与の度に申告が必要です。 なお、相続時精算課税の選択は、贈与者ごとの選択になります。相続時精算課税制度を利用するうえでの注意点は、相続時精算課税を選択すると、その選択に係る贈与者からの贈与は全て相続時精算課税の対象となり、暦年課税の対象に変更できないことです。 相続時の「課税遺産総額」を求めるために相続時精算課税の適用を受けた財産の価額(贈与時の時価)を相続発生時の被相続人の財産に加算しますが、この「相続時精算課税の適用を受けた財産の価額」とは年間110万円の基礎控除額を差し引いた残額に当たります。贈与者と受贈者の要件贈与者は、贈与をした年の1月1日の時点において60歳以上である受贈者は、贈与者の推定相続人である直系卑属(子や孫)であり、贈与を受けた年の1月1日において18歳以上である※相続時精算課税の適用を受ける場合、受贈者が贈与者の直系卑属であることを証明する書類(例えば、戸籍謄本)を相続時精算課税選択届出書及び贈与税の申告書に添付して提出します。相続時精算課税の特例 受贈者が、令和8年12月31日までに父母や祖父母などの贈与者から自己の居住用の住宅の取得や増改築のための資金を取得したとき、贈与者の年齢がその年の1月1日において60歳未満であっても一定の要件のもとに相続時精算課税の適用を受けることができます。 受贈者が贈与者の直系卑属である推定相続人又は孫であること、贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額を充てて住宅用の家屋の新築等をすること等の要件が存在します。贈与税の非課税措置 将来世代への財産の有意義な贈与には非課税措置が用意されています。ここからはそのような贈与を紹介します。住宅取得等資金の贈与受贈者が贈与者の直系卑属の場合 令和6年1月1日から令和8年12月31日までの間に父母や祖父母など直系尊属から住宅用家屋の新築若しくは取得又は増改築等のための資金(「住宅取得等資金」)の贈与を受けた場合において、一定の要件のもと、受贈者ごとに非課税限度額まで贈与税が非課税になります。非課税限度額 省エネ等住宅の場合には1,000万円まで、その他の住宅の場合には500万円までの住宅取得等資金の贈与が非課税になります。受贈者の要件受贈者は、贈与を受けた年の1月1日において18歳以上である。受贈者は、贈与を受けたときに贈与者の直系卑属である。贈与を受けた年において受贈者の合計所得金額は1,000万円以下又は2,000万円以下である。受贈者は、贈与を受けた年の翌年3月15日までに当該贈与に係る住宅取得等資金の全額を自己の住宅用家屋の新築若しくは取得の対価又は増改築等の費用に充てる。受贈者は、贈与を受けた年の翌年3月15日までに当該住宅用家屋に居住しているか、又は同日以後遅滞なく居住することが確実である。平成21年から令和5年までの贈与税の申告で「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」の適用を受けたことがない。住宅の要件 本非課税制度が適用される住居用家屋は、受贈者の所得金額が1,000万円以下の場合では床面積が40m2以上50m2未満の家屋、受贈者の所得金額が2,000万円以下の場合では床面積が40m2以上240m2未満の家屋である。特例の対象となる贈与の要件 本制度の対象となる贈与は以下のいずれかの要件を満たします。 住宅の新築の対価に充てるための贈与である。 建売住宅又は昭和57年1月1日以後に建築された中古住宅若しくは地震に対する安全性に係る基準に適合する中古住宅の取得に充てるための贈与である。 居住の用に供している住宅の増改築等の費用(100万円以上)に充てるための贈与である。受贈者が贈与者の配偶者の場合 婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、その贈与された財産の価額から基礎控除額110万円に加えて最高2,000万円までを控除することができます。適用要件婚姻期間が20年以上の配偶者からの贈与である。居住用不動産の贈与又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与である。贈与を受けた年の翌年3月15日までに居住の要に供し、かつ、その後も引き続き居住の用に供する見込みである。過去に同一配偶者からこの配偶者控除の特例の適用を受けていない。教育用資金の贈与 受贈者が、平成25年4月1日から令和8年3月31日までの間に父母や祖父母など直系尊属から、金融機関との一定の契約に基づいて教育資金に充てるための金銭等の贈与を受けた場合、受贈者1人につき1,500万円までの金額に相当する部分について贈与税が非課税になります。利用方式 贈与者は、金融機関と教育資金管理契約を締結することで受贈者に対する教育用資金の贈与を行います。金融機関と教育資金管理契約には教育資金贈与非課税口の開設や教育資金贈与信託の契約が挙げられます。贈与者は複数であっても構いません。 教育資金は、保育園から大学院までの学校等及び学校以外のスポーツや文化芸術に関する教室への支払いに充てることができるほか、通学定期券や留学への支払いに充てることもできます。 贈与された教育資金は、受贈者が教育機関等への支払いを証明する領収書等を上記金融機関の営業所に提出することで受贈者に払い戻されます。受贈者の要件受贈者は、教育資金管理契約を締結する日において30歳未満である。受贈者は、贈与者の直系卑属である。信託受益権又は金銭等を取得した日が属する年の前年分の受贈者の合計所得金額は1,000万円以下である。教育資金口座に係る契約の終了 教育資金口座に係る契約は、原則として以下のいずれかの事由が発生した場合に終了します。 受贈者が30歳に達した(その時点において学校等に在学中又は教育訓練受講中であることを上記金融機関の営業所に届け出た場合を除きます)。 受贈者が40歳に達した(学校在学中又は教育訓練受講中でも契約終了)。 口座の残高がゼロになり、その口座に係る契約を終了させる合意があった。 受贈者が死亡した。 1~3の事由で契約が終了した後に贈与財産が残っていた場合、その財産は契約終了年の贈与税課税の対象になります。契約期間中に贈与者が死亡した場合 契約期間中に贈与者が死亡した場合において、以下の1又は2の場合に該当するときは、上記金融機関の営業所に贈与者の死亡を届け出ます。 令和3年4月1日以後にその贈与者から信託受益権又は金銭等の取得をし、この非課税制度の適用を受けた場合 平成31年4月1日から令和3年3月31日までの間にその贈与者から信託受益権又は金銭等の取得(その死亡前3年以内の取得に限る)をし、この非課税制度の適用を受けた場合 この場合、管理されていた残額は、相続等により受贈者によって取得されたものとみなされます。 ただし、贈与者の死亡日において受贈者が23歳未満であるとき、学校等に在学中であるとき、又は教育訓練の受講中である場合では、相続等により取得されたものとはみなされません。 令和3年4月1日以後に取得した信託受益権又は金銭等であって、相続等により取得したとみなされる管理残額について、その受贈者が贈与者の子以外(孫など)である場合、その贈与者の管理残額に対する相続税額は、相続税額の2割加算の対象になります。結婚・子育て資金の贈与 受贈者が、平成27年4月1日から令和7年3月31日までの間に父母や祖父母など直系尊属から、金融機関との一定の契約に基づいて結婚・子育て資金に充てるための金銭等の贈与を受けた場合、受贈者1人につき1,000万円までの金額に相当する部分について贈与税が非課税になります。利用方式 贈与者は、金融機関と結婚・子育て資金管理契約を締結することで受贈者に対する教育用資金の贈与を行います。金融機関と結婚・子育て資金管理契約には結婚・子育て資金贈与非課税口の開設や結婚・子育て資金贈与信託の契約が挙げられます。贈与者は複数であっても構いません。 結婚・子育て資金は、結婚及びそれに伴う新生活並びに子育てに関する支払いに充てることができるほか、出産及び不妊治療に関する支払いに充てることもできます。 贈与された結婚・子育て資金は、受贈者が結婚・新生活、不妊治療、出産及び子育てに関する支払いを証明する領収書等を上記金融機関の営業所に提出することで受贈者に払い戻されます。ただし、結婚関係の支払い額の限度は300万円です。受贈者の要件受贈者は、結婚・子育て資金管理契約を締結する日において18歳以上50歳未満である。受贈者は、贈与者の直系卑属である。信託受益権又は金銭等を取得した日が属する年の前年分の受贈者の合計所得金額は1,000万円以下である。結婚・子育て資金口座に係る契約の終了 結婚・子育て資金口座に係る契約は、原則として以下のいずれかの事由が発生した場合に終了します。 受贈者が50歳に達した。 口座の残高がゼロになり、その口座に係る契約を終了させる合意があった。 受贈者が死亡した。 1又は2の事由で契約が終了した後に贈与財産が残っていた場合、その財産は契約終了年の贈与税課税の対象になります。契約期間中に贈与者が死亡した場合 契約期間中に贈与者が死亡した場合、上記金融機関の営業所に贈与者の死亡を届け出ます。この場合、管理されていた残額は、相続等により受贈者によって取得されたものとみなされます。 令和3年4月1日以後に取得した信託受益権又は金銭等であって、相続等により取得したとみなされる管理残額について、その受贈者が贈与者の子以外(孫など)である場合、その贈与者の管理残額に対する相続税額は、相続税額の2割加算の対象になります。まとめ 贈与をすると、贈与財産の価額から基礎控除110万円を差し引いた残額について贈与税が課される(暦年課税)。 相続開始前7年間に発生した贈与で被相続人から相続人が取得した財産は、相続税額を計算するために相続財産に加算される。 相続時精算課税を選択すると、基礎控除110万円を差し引いた残額についてさらに特別控除額2,500万円を差し引き、その残額について贈与税が課される。 直系尊属が18歳以上の直系卑属に住宅取得等資金を贈与するとき、その住宅の性格に応じて500万円又は1000万円に相当する部分について贈与税が非課税になる。 直系尊属が30歳未満の直系卑属に教育資金を贈与するとき、1,500万円までの金額に相当する部分について贈与税が非課税になる。 直系尊属が18歳以上50歳未満の直系卑属に結婚・子育て資金を贈与するとき、1,000万円までの金額に相当する部分について贈与税が非課税になる。 婚姻関係が20年以上継続している夫婦間で居住用不動産又は居住用不動産取得用の金銭が贈与された場合、2,110万円までの金額に相当する部分について贈与税が非課税になる。 配偶者には相続税の軽減制度に加え、贈与税についても控除制度が用意してあることがわかります。 これらの制度を利用すると支払う税の額を抑えることができますが、多くの財産を渡した配偶者が亡くなると、子が二次相続で支払う相続税が増えることになります。一次相続において遺産の分配を考えるときは、二次相続を考慮して生前贈与や遺産分割を計画することが重要です。 正確に相続税や贈与税を計算したい方は、税理士に計算を依頼してください。
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  • 美術工芸品の相続
    美術工芸品の相続 実家の片付けや遺品整理で出てきた物品の中には売却するにしても売却前に名義変更等の手続きが必要なものもあれば、相続税の物納に使えるものもあります。今号の記事は、親の持ち物の生前整理又は遺品整理に関して役に立つ、遺品の整理で発生する手続きを説明します。日本刀等 銃砲や刀剣類は、法令等に定めのある場合を除き、所持することが禁じられています。しかしながら、美術品又は骨董品として価値のある火縄式銃砲等の古式銃砲又は美術品として価値のある刀剣類は、所有者の住所地の都道府県教育委員会で登録することにより所持することができるとされています。ここでは、東京都教育委員会のホームページを参照して、日本刀を相続することになった場合を例として、その相続に必要な手続きを説明します。登録証がある場合の手順 日本刀を所有していた被相続人が遺言を遺さずに死亡し、その日本刀の存在を知らなかった相続人が被相続人の遺品整理の際にその日本刀を発見した場合を例として説明します。銃砲刀剣類は、その登録証と一緒に保管することが義務付けられています。刀と一緒に登録証が見つかった場合と見つからなかった場合の手続きの流れを説明します。登録証を探す登録証が見つかった場合、相続によるその刀の新所有者は20日以内にその登録証を交付した教育委員会に所有者変更届出書を提出して手続きが完了します登録証が見つからない場合の手順登録証を探す登録証が見つからなかった場合、所轄の警察署に連絡し、その後で発見届を警察に提出する所轄警察署から交付された発見届出済票を受領する都道府県の教育委員会文化財保護担当に申請書を提出して次回の登録審査の予約をする審査会当日に会場で教育委員会文化財保護担当から送付された審査会通知文書、身分証明書、及び警察から交付された発見届出済票を提示又は提出し、審査手数料を納付する審査を受けて登録が認められた刀には登録証が交付され、相続人がその刀の新しい所有者となる 新所有者が住所変更を行う場合、住所変更届出書の提出も義務付けられています。象牙・ウミガメ等希少生物のはく製 商売として象牙、ウミガメの甲を扱っていない方でも全形象牙(彫刻等を施したものも含む。)やウミガメ等の希少生物のはく製、全甲を所有したり譲渡(売却)したりするにはその全形象牙又はウミガメのはく製、全甲の登録が必要になります。 登録がされていないものの譲渡や販売目的の陳列又は広告には「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」により罰則が適用されることがあります。登録美術品制度 登録美術品制度とは、国民の優れた美術品を鑑賞する機会の拡大を促進するため、美術館における公開を前提として個人が所有する優れた美術工芸品を文化庁長官が登録する制度です。 相続発生後に当該美術工芸品を相続税の物納の対象とする場合に当該美術工芸品は、物納が認められる優先順位が第3位から国債や不動産と同等の第1位になり、相続税の物納が容易になります。登録美術品制度を利用するための美術品の登録申請は、当該美術品の所有者の生存中に行うことを要します。この制度で登録される美術工芸品は、国宝や重要文化財に登録されるほどのクオリティーのものとは明記されていませんが、どんな美術品でも対象になるわけではないことに注意してください。美術品の登録と公開までの流れ1.美術館への相談 美術品所有者が美術館へ相談し、美術品の公開について美術館の同意を得ます。2.文化庁への申請 美術品所有者は、「美術館の協力」を得て文化庁への申請書を作成し、必要書類*を添付して文化庁長官へ提出します。3.文化庁の審査 文化庁長官が、美術品に関する識者の意見を参考にして登録の可否を決定します。4.登録の可否の通知 文化庁から登録の可否の通知が美術品所有者にあります。5.登録美術品所有者と美術館との契約締結 登録通知を受けた日から3か月以内に登録美術品所有者と美術館との間で登録美術品の公開に関する契約を締結し、登録美術品を公開します。* 申請書に添付する必要書類は、申請書の様式の中で紹介されています。行政書士に相談する
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  • 不動産の相続・遺贈と相続税以外の税金
    不動産の相続・遺贈と相続税以外の税金 本記事では相続・遺贈により受け継いだ不動産に対して課される税について紹介します。まず、筆者は行政書士ですので、税について一般的な情報しかご紹介できないことをご留意ください。不動産取得税 不動産を取得したときに課される特別な税金が不動産取得税です。相続・遺贈に関して、相続により不動産を受け継いだ相続人、又は包括遺贈(遺贈者が割合を示してその財産を遺贈する方式)の結果として不動産を受け継いだ受遺者には不動産取得税は課税されません。 これに対し、特定遺贈(遺贈者がその特定の財産を示して遺贈する方式)の結果として不動産を受け継いだ受遺者には不動産取得税が課税されます。すなわち、相続人及び包括遺贈の受遺者には免税、特定遺贈の受遺者には課税となります。 税率は、土地については3%、住宅については3%、住宅以外の家屋については4%となっており、固定資産課税台帳に記載されている価額をこれらの税率に掛け算することで税額が得られます。宅地及び居住用の家屋については税額を軽減させるような特例もありますが、本記事では説明を省略します。登録免許税 不動産を取得した後、誰がその不動産の所有者であるか表示し、その不動産に関するその所有者の権利や義務を保護するための仕組みを登記といい、相続・遺贈により新たに不動産の所有者となった人も登記をします。なお、2024年(令和6年)4月1日から相続により得た不動産の登記が義務になりました。このトピックは稿を改めてご紹介します。 登録免許税は、登記を受けるときに課税されます。税率は、相続による不動産の所有権移転の登記については0.4%、贈与・遺贈による不動産の所有権移転の登記については2%になっており、不動産の価額をこれらの税率に掛け算することで税額が得られます。 相続・遺贈により取得した不動産の登記は、その取得を知った日から3年以内に行わなくてはなりません。ポイント 遺産の分割を考えるときは、不動産を受け取った人が税金を払うことができるか考えておくことも大事です。税金を払うことができなくて相続した不動産を売りに出すこともありますし、売却金が入る前に相続税支払いの期日が来てしまうこともあります。具体的な相続税額の計算は、税理士にご相談ください。
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  • 死亡後の手続きと死後事務委任
    死亡後の手続きと死後事務委任 最近、死後事務委任という言葉を聞くようになっていませんか?。死んだ後の色々な手続きを死後事務といいます。本記事は、どのような死後事務があり、生前にどのような準備をしておけばよいのか説明します。死後事務って何? 死後事務の中には死亡届の提出をはじめとする役所に対する手続き、公共料金等の支払いと契約解除などの民間企業に対する手続き、並びに葬式及び納骨の執行が含まれます。主要な手続きだけで40種類近くがあります。役所への主な手続きの種類と期日1.死亡を知った日から7日以内死亡届(死亡診断書と死亡届書を提出します)埋火葬許可証の取得(死亡届を提出すると発行されます)戸籍への死亡の事項の記載(死亡届を提出した市区町村の役所から本籍地の役所に依頼があります)2.死亡を知った日から14日以内住民票の世帯主の変更届(死亡者が世帯主であり、その世帯に2名以上の世帯員がいる場合)在留カード又は特別永住者証明書の返却(ただし、「死亡日」から起算)3.死亡日から15日以内バイク及び自動車の廃車又は名義変更手続4.死亡後速やかに介護保険被保険者証の返納運転免許証の返納パスポートの返納又は失効手続未納保険料の処理5.死亡を知った日の翌日から1か月以内未支給の失業給付の請求6.死亡を知った日の翌日から3か月程度の相当な期間未納の税金又は過払いした税金の処理(未納又は過払いの通知日から起算)7.死亡を知った日の翌日から4か月以内準確定申告8.死亡を知った日の翌日から10か月以内相続税申告9.死亡日等から2年以内高額療養費の申請(高額な医療費が発生した診療月の翌月から起算)葬祭費/埋葬料の申請(葬祭を行った翌日から起算)国民年金の死亡一時金の申請(死亡日の翌日から起算)過払保険料の処理(還付通知日から起算)10.死亡日等から3年以内不動産の相続登記(相続財産の中に不動産があるとき場合、その取得を知った日から起算)11.死亡日等から5年以内遺族基礎年金/遺族厚生年金の請求(死亡を知った日の翌日から起算)12.随時印鑑登録証の返納健康保険証又は後期高齢者医療保険被保険者証の返納13.諸手続きの終了後マイナンバーカード・住民基本台帳カードの返納未支給年金の請求(被相続人が亡くなった月の年金が未支給の場合。被相続人がマイナンバーを日本年金機構に届け出ていた場合には手続き不要)その他、住所地の地方公共団体から介護サービス等を受けていた場合にはそのサービスの解約手続等民間企業等への主な手続き病院や介護施設等の費用清算電話及びインターネットなどの料金の清算、契約承継、名義変更、又は解約NHK受信料の清算、及び名義変更又は解約水道、ガス、及び電気の料金の清算、及び契約の名義変更又は解約サブスクリプション型サービスの清算と解約軽自動車の廃車又は名義変更手続保険会社への死亡保険や入院給付金の請求、及び契約の解約預貯金口座の名義変更や解約クレジットカードの解約証券口座内の証券の移管や口座解約住居等に関する手続き不動産の所有権の名義変更(「役所への主な手続き」で説明済み)未納固定資産税の処理未納地代の処理(借地権が登記されている場合には相続登記が必要)未納家賃の処理(賃貸住宅に入居の場合)遺品整理と賃貸借物件の解約及び明け渡し(賃貸住宅に入居の場合)葬儀・祭祀に関する手続き埋火葬許可証の取得(「役所への主な手続き」で説明済み)葬儀社の手配と葬儀の執行墓地の管理者への連絡と納骨の執行墓地の管理料の支払いその他の手続き遺されたペットの世話の手配サブスクリプション型オンラインサービスの清算と解約SNSアカウント等の閉鎖スマホの契約解除は一番最後 現在ではスマートフォンは、サブスクリプション型オンラインサービスやネット証券やネットバンクなどの金融サービスなど、色々なサービスを受けるための手段となっており、被相続人が亡くなってすぐにスマートフォンの契約を解除してしまうとその人がどのようなサービスを契約していたかわからなくなる可能性があります。「スマホの契約解除は一番最後」と心得てください。死後事務委任って何?死後事務を委任するってどういう意味?「死後事務委任」とは、契約により、亡くなった後の諸々の手続きを誰かにやってもらうことをいいます。どういう人が死後事務を委任するの?身寄りがない人や、身寄りがいても頼れない人が死後事務を委任します。後見人に死後事務をお願いできないのですか?後見人は、いくつかの手続きを除き、原則として死後事務を行うことはありません。任意後見受任者がいる場合には、別途死後事務委任契約を結ぶ方法もあります。死後事務委任契約 死後事務委任契約は、公正証書により作成します。契約の内容は、双方の合意によって自由に決定可能です。契約の中に含まれる主な条項としては、(1)委任する事務の種類、(2)預託金・費用報酬の支払いに関する定め、(3)契約の解除・終了に関する定め、及び(4)預託金の返還・事務執行報告に関する定め等が挙げられます。委任事務の範囲 死後事務のうち、必要と思われるものを選択して契約の中に含めることができます。預託金・費用報酬の支払いに関する定め 死後事務執行の費用(経費)と報酬の支払いには預託金方式および生命保険利用方式があり、死後事務受任事業者によって方法が異なります。また、任意後見受任者と死後事務契約を結んだ場合には、任意後見人が管理する財産の中から費用(経費)と報酬を支払う方法があります。預託金方式:死後事務の委任者の死後に預託金の中から費用(経費)と報酬を支払う。生命保険利用方式:生命保険に加入し、その死亡保険金の中から費用(経費)と報酬を支払う。 費用(経費)と報酬の支払いに関して、死後事務委任契約の中で明確にする必要があります。契約の解除・終了に関する定め 亡くなる直前に死後事務委任契約を結ぶわけではないため、契約締結から事務実行までに間があります。その期間に起きた各契約当事者の事情により契約の解除が必要になる場合があります。このような事態に備えるため、契約解除条項を死後事務委任契約に含めます。 また、預託金の中から死後事務委任の費用と報酬を支払う契約になっている場合では、委任者の相続人はその預託金について相続人としての権利を持っているため、委任者の相続人による解除を防ぐような定めを契約の中に含める必要があります。 死後事務委任契約には、委任した事務が完了した時点で契約が終了する定めを含めます。預託金の返還・事務執行報告に関する定め 死後事務の終了後、受任者は事務執行の費用と自分への報酬を預託金から清算し、残金を遺言執行者、相続人、又は財産清算人に返還します。さらに受任者は、事務執行の詳細、費用の支出、及び報酬等を記載した報告書を作成して報告します。終わりに 人が亡くなった後には多くの手続きが必要になります。しかし、生前の整理や準備で、その負担を大きく軽減することができます。相続人にとっては、手続きの期限を把握しておくことが安心につながります。 また、今後は様々な事情で死後事務委任を利用する人が増えていくでしょう。自分に必要なサービスを見極め、事業者が提供するサービス内容を理解しておくことで、より安心して死後事務代行サービスを活用できます。 死後事務委任契約は遺言や後見制度とは独立した制度ですが、これらと併せて検討することで、老後の生活を長期的・総合的に計画することができます。
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  • 身寄りのない高齢者支援事業者が守るべき指針
    身寄りのない高齢者支援事業者が守るべき指針 令和6年4月19日の報道において政府は、身寄りのない高齢者等支援事業者が守るべき指針の案(「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン(案)」)をまとめたことが発表されました。本記事は、このような高齢者支援事業に興味を持っている方にも自分には関係ないと思っている方にも読んでもらいたい内容です。 ただし、本記事は「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン(案)」の解説をしていますが、筆者は、このような事業者の利用を肯定も否定もしていないことをご理解ください。背景 高齢者の単独世帯の増加が見込まれている 令和6年4月12日に国立社会保障・人口問題研究所が公表した日本の世帯数の将来推計において、独り身の高齢者(65歳以上)のみから構成される世帯の数が2020年の738万世帯から2050年には1084万世帯にまで増加することが推計されていると発表されました。2050年の日本の総人口は1億51万人であり、65歳以上の人口は3888万人であることが予想されています。つまり、65歳以上の高齢者の4人に1人以上が単身で生活している予想です。 単身生活者の年齢別の割合は、男性よりも女性の方が長命のため、年齢と共に男性では低下していきますが(26%→22%)、女性では逆に上昇していく(29%→32%)ことが予測されており、これは夫との死別後に単身で暮らす女性の増加を表していると考えられます。 高齢者の長命化が高齢者支援事業者を必要とする 日本の産業構造の変化による都会への人口移動だけでなく、親世代と子世代との間での価値観の違いも親と子が別世帯を持って暮らすことを促進しました。親が高齢化して介護を必要とするようになっても子が遠方に住んでいてなかなか親の家まで通えないという話はよく聞かれる話です。 さらに年齢を重ね、入院したり介護施設に入居したりしようとしたときに病院や介護施設から身元保証人を求められることがあります。身元保証人になってくれる子が周りにいない高齢者はどうしたらいいのでしょうか?このような高齢者のニーズに応える形で「身元保証事業」という事業が誕生しました。高齢者支援事業 高齢者支援事業には以下の3つの側面があります。日常生活支援サービス死後事務サービス身元保証サービス 死後事務サービスとは、利用者の死後に利用した医療の支払い、葬儀の執り行い、遺産の処分、及び遺品整理等を行ってくれるようにサービス利用者が業者に委託し、業者がそれを受託して契約した全ての事務を執行するサービスです。身元保証等高齢者サポート事業の問題とされた点 身元保証等高齢者サポート事業は近年になって誕生した新しいサービスであり、現時点ではこれを直接規制する法律も、所轄する監督官庁も存在しません。そのため、提供されるサービスの内容は事業者ごとに大きく異なり、利用者との間でトラブルが発生した例も見られました。 こうした状況を踏まえ、政府は「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」を策定し、従来の身元保証等高齢者サポート事業を高齢者等終身サポート事業へと移行させる方針を示しました。これにより、事業者の適正な事業運営を確保し、高齢者が安心して利用できる仕組みづくりを進めることとしています。身元保証等高齢者サポート事業者の事業内容の例 身元保証等サービス医療施設や介護施設への入所時の保証 死後事務サービス契約者の死後の関係者への連絡火葬手続に関する手続代行納骨とそれに関わる手続代行残置物(遺品)の処理に関する手続代行 日常生活支援サービス通院への付添い買物への同行生活費の管理印鑑及び重要証書・書類の保管 (出典)身元保証等高齢者サポート事業における消費者保護の推進に関する調査結果報告書(令和5年8月総務省行政評価局)から一部改変身元保証サービス利用に起こりがちな悩みとトラブル 身元保証サービスは、単に高齢者サポートサービスという名称で提供されている場合もあります。この記事では身元保証サービスで統一します。この節では厚生労働省が身元保証サービス利用に起こりがちな悩みとトラブルとして挙げていることを紹介します。サービスの利用開始前から利用終了後までの四期に分けてそれぞれの期間に生じた悩み・トラブルを挙げます。第一期:事業者・サービス内容の検討・身元保証サービスについてどこで相談したらよいかわからない。第二期:契約手続き・サービスの内容が具体的にイメージできず、料金が妥当であるのか分からず、迷う。・経済状況の申告、遺言書の作成等、サービス利用にかかる手続に納得いかない。第三期:サービス利用中・自分が思っていたサービスではないと不満を感じる。・サービス利用中に家族や第三者(地域包括支援センター、金融機関等)からサービスの内容等について聞かれても説明できず、不安になる。第四期:サービス利用契約の終了・解約・サービス中止にかかる手続きがわからない/返金額に納得いかない。・死亡により契約が満了して初めて家族がサービスの契約内容を知り、びっくりする。高齢者等終身サポート事業者のチェックリスト 政府が4月19日に発表した「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン(案)」の中において、政府は以下の3要件を満たす事業者を高齢者等終身サポート事業者として定義しました。「身元保証等サービス」及び「死後事務サービス」を提供するものであること  本人(契約者)と締結した契約に基づき、サービス提供するものであること 事業として継続的に提供するものであること さらに、高齢者支援事業の運営に関する30項目のチェック項目案が事業者と利用者の双方の利便に供するために発表されました。以下にその表を添付しています。ダウンロードしてご覧になることもできます。身元保証事業者チェックリストダウンロード高齢者等終身サポート事業者の現状と将来 高齢者等終身サポート事業者の事業内容は、身元保証等サービス、死後事務サービス、及び日常生活支援サービスの三つから構成されると説明しました。 しかし、それぞれのサービスは既存制度と重複する側面を持っています。身元保証等サービスは既存の後見制度と、死後事務サービスは死後事務委任契約と、日常生活支援サービスは介護保険の生活支援サービスと内容が似通っています。 既存の制度は、利用手続きが煩雑であったり、サービス開始の条件が厳しかったりと、使い勝手の面で過大があります。そのため、比較的に健康で経済的に余裕のある高齢者は、既存制度のメリットを実感しにくい場合があります。 こうした既存制度の隙間に置かれ、不安を抱える高齢者に寄り添う仕組みとして、高齢者等終身サポート事業が受け止められてきたのかもしれません。 今後、この事業がどのように変化していくのかはまだ見通せませんが、より有益で利用しやすい制度へ発展していくことを願っています。
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